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2005.06.24 (Fri)

失認

「失認」ってご存知ですか?
病気などによって、認知がなくなってしまう状態をいいます。

たとえば目の前にヘアブラシを置かれたとします。
でも失認の状態によっては、それが何なのか分かりません。

ヘアブラシを手にとって「髪をとくものよ」と教えます。
そこでようやくヘアブラシは髪をとかすものだと分かります。
でも症状が進んでいる場合、なぜ髪をとかすのか分かりません。

私の患者さんには、自分の名前さえも分からない人がいます。
その人にとって、世の中の全てのものに意味がないのです。
表情は乏しく、今では言葉さえも意味がありません。

若年アルツハイマーに加え、ある合併症があります。
まだとても若い方です。本当ならまだ人生これからの年齢です。

よく冗談で「私アルツかも~」と軽く言う方がいますが
私はそういう人たちに、一度言いたいと思っていました。
実際のアルツの方と、そのご家族の気持ちを考えて下さいと。

ご本人は目からの情報、耳からの情報、触覚、嗅覚など
いろんな情報が入手できますが、ほとんどに意味がないのです。
まるで暗闇にいるように。外国に放り出されたように。

その患者さんが私の横を通るとき言ってくれました。
「また来月来てくれるとだろ?」

スタッフみんなの動きが「えっ?」と止まったほどの驚き。

言葉も物も意味をなさなくなってしまった方。
発病まではある程度の地位を得、家庭を築いて来られた方が
いきなり病魔に冒され、家族の記憶さえも奪われてしまう。

でも、その人生の中に息づいてきた音楽は残っているのです。

歌を口ずさみながらニッコリと微笑むその方は
私が普段どんなに言葉掛けを行っても反応がありません。
宙を見つめ、硬い表情のまま…。

それなのにセッション後数分だけは私に言葉掛けをされるのです。
それも、私が来月来る…という事が理解できている。

…でもその10分後。
その方はまたいつもの状態に戻ってしまいました。

音楽は情動に直接働きかけるものだと言われています。
母親の胎内に芽生えたときから、命の燃え尽きるまで。
心臓の鼓動を基として、一生流れ続けるものなのです。

たとえ耳が聞こえなくても。鼓動のリズムを感じながら生きる。
それが生命なのだと言われています。

今回、責任の重さを感じると共に音楽の素晴らしさを実感しました。
これからはその患者さんを少し重点的に診ていきたいと思います。
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