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2005.06.29 (Wed)

音。

私が受け持つ若い対象者の中に、絶対音感を持つ方がいます。

絶対音感には訓練してできたものと生まれつき持つものがあり
訓練してできたものの場合、音に対する敏感度は和らぎます。
音楽に対しての音感はあるのですが、生活に支障はありません。
これは小さい頃からの訓練で身につける事ができます。

しかし生まれつき持って生まれた絶対音感を持つ人には
雨音とグラスを洗う音のハーモニーが不協和音に感じたり
お皿にフォークがあたる音が音符に聞こえたりします。

…もちろん全ての人がそうではありませんが。

世の中のもの全てが綺麗なハーモニーなら良いのですが
このご時勢、車の騒音や工事現場の音など不協和音はいっぱい。

でも自然界の音には不思議とそんな不協和音的なものはなく
調和し合って成り立っているので、なんだか不思議ですよね。

私の受け持つ対象者は、生まれつきの絶対音感を持ち合わせ
全てのものが音符に聞こえ、一日中音楽と対話をしています。
今まで特別に音楽教育を受けたことはないので、学校以外で
『音楽の先生』という存在に出会ったのは私が初めてです。

その方がセッション後泣いていました。
私より少し年上の男性で、見た目はとてもハンサムです。

「どうかされましたか?」と私が聞くと、こう言われました。

「先生のピアノに涙が出るんです」

「私、そんなに悲しいピアノを弾いていましたか?」
「いえ。先生のピアノは、ボクの心を広げるような音ですよ」

音楽療法は別に、演奏して人を感動させるものではありません。
相手に寄り添い、相手を引き出し、方向性を見つける仕事です。

他の職種のセラピストと同じです。
ただその媒体が『言葉』ではなく『音楽』というだけ。
だからこそ、言語を持たない人たちとも関わることができます。
つまり、言語では表現できない部分を扱うことができるのです。

「音楽はお好きですか?」そう切り返すとその方が答えました。
「はい。マーシャルの音が特に好きです」

…?マ、マーシャル??

「マーシャルってアンプのマーシャル?」
「はい。マーシャルの音は心に響いて鳥肌が立ちます」

それから延々と、その方の音楽を話を聞いていました。
カシオペアのアルバムの中に、どうしても納得のいかない
微妙に外れたギターの音がかすかに入っているという事など…。

病気により、その話の数々に繋がりが乏しいことも多く
脈絡がない事も少なくありません。

そしてひとしきり喋ったあと、
さきほど泣いていた理由を詳しく話してくれました。

私のピアノは心に入り込んできて、どうしようもないそうです。
その方に対するセッション後、数時間は経っていましたが
ずっと心が揺さぶられたままだったのだそうです。

つまり私はクールダウンをきちんと行えてなかった訳ですね。
この部分に気付けなかった自分に対し、反省しています。

私はピアノ科卒ですが、ハッキリ言ってフルートの方が得意。
そこまで自分のピアノの技術に固執する事もありません。

コンクールにも自分の意味を見出せず、特に興味もありません。
誰かと競って一番になろうなんて思った事もありません。
あくまでも、自分の内側を表現する手段でしかありません。

だけどその方の話によると
どんなプロの演奏よりも心に入り込むのだそうです。

楽器はあくまでも、表現手段の媒体でしかありません。
私もその媒体から伝えられていたんだという事には感激です。

でもその方はそれで泣いていた訳ではありません。


せっかく良い音なのに、時々出てくるミスに涙が出ました



…。


言い訳をするとしたら、セッションの音楽に練習はありません。
その場でその空気を感じて音を鳴らすので、その場が本番。

歌謡曲を使うにしても、ほぼ初見状態だというのに
メロディー譜をサラッと見て、歌詞を確認しつつ先読みをし、
さらに歌をリードしながら、対象者の方を向いて弾きます。


…。


いいえ。ただの言い訳です。



まだまだ精進です(-_-)
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*Comment

■なるほど・・・

大変興味深いお話です。絶対音感を先天的に持っている生徒を私も何人かみていますが、同じとは言えませんが、いつも音と向かい合っているという点で同様であろうと思われます。
作曲が専門ですので、そうした学生に会うことも多いのですが、私は絶対音感ではなく相対音感です。ちなみに私の先生も相対音感でした・・・。
Schweizer_Musik |  2005.07.03(日) 09:39 |  URL |  【コメント編集】

私も相対音感です。Schweizer_Musikさんが書いてらした「鍵盤ソルフェージュ」のようなものは習得していますが、あくまでもそれは借り物でしかない気がします。実際にそれを習得して「絶対音感」だと言っている人が、管や弦の微妙な音を聞き分けられているのだろうかと考えると、あくまでもそれは「相対音感の中の一つ」のような気がします。絶対音感というものはあくまでも先天的なものなのではないでしょうか。
音楽をやっているとどうしても絶対音感を羨望するような状況がありますが、実際に持っている人たちを見ると大変なことも多い気がします。机を叩きながら「レなんだけど、少しピッチが低くて気持ち悪いなぁ」なんていう様子は特にそれを感じます。これから雨の多い時期。雨音や車が雨を跳ね上げる音が眠りの妨げにならない事を祈るばかりです。
この記事の対象者の方もこのような特筆的な才能を持ち合わせ、相談できる人を持たなかったため、自分をうまく消化できないでいたようです。
管理人 |  2005.07.03(日) 21:09 |  URL |  【コメント編集】

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